AMU JOURNAL

はたらく人の声

「畳も運ぶし、神父にもなる」〜島の暮らしは予測不能〜

2025.7.14

書いた人 ― 宇谷 康志

約1年ぶりの更新です。

気づけば島に移住してから、もうすぐ3年が経とうとしています。最初は何もかもが新鮮だった島暮らしも、今ではすっかり「日常」になりました。

今回は、たまには“複業組合”らしく、仕事の話を中心に書きたいと思います。

今の仕事:水産加工×畳屋

現在は「水産加工会社」と「畳屋」で働いています。

水産加工会社の仕事は、移住してすぐに始めたもので、今では自分のベースのような存在。仕事の流れにも慣れ、季節ごとの忙しさにも対応できるようになってきました。

そしてもう一つの仕事が「畳屋」。 複業組合に入るとき、「いろんな仕事をすることになるんだろうな」とは思っていましたが、まさか畳屋で働くことになるとは…正直、予想外でした(笑)。

畳の世界って、想像以上に奥が深い

働く前は、「畳なんて全部同じサイズでしょ?」と思っていました。今では、そんな自分がちょっと恥ずかしいです。

実は、部屋の歪みに合わせて一枚一枚サイズを調整する必要があり、同じ畳は一つとして存在しません。だからこそ、「一分(約3mm)」「一厘(約0.3mm)」単位の正確な測定が求められ、少しでも誤差があるとうまくはまらないんです。

不器用な自分にとってはハードルが高く、最初は「これは自分の世界じゃないかも…」と不安もありました。それでも少しずつ慣れて、今は主に畳の運搬を担当しています。

配線に合わせて畳を加工。なかなか気づかれないけど、実はすごい技術。
畳のへりには、かわいい柄も。この畳は保育園に納品予定。

離島ならではの働き方

島前地域には畳屋さんが一軒しかないので、仕事で西ノ島や知夫里島まで行くこともあります。移動手段はもちろん船。天気や時間に左右されて大変なこともありますが、「仕事で船に乗る」って、なかなかできない経験。実はけっこう楽しんでいます。 最近は、畳屋さんの息子さんがやっている内装の仕事も手伝い始めました。主に壁紙をはがす作業なんですが、これが意外と楽しくて。きれいにぺりっと剥がれると、ちょっと快感なんですよね(笑)。

壁紙はがし。気持ちいいけど、範囲が広いとさすがに大変・・・。

職人には向いていないけれど・・・

こうした職人仕事は、島の中でなくなってしまうと本当に困る仕事です。

不器用な自分は職人向きではないけれど、そんな大切な仕事の一部に関わることができているのは、ちょっと嬉しいこと。

…とはいえ、30kgの畳を4階から運ぶときは、さすがに心が折れそうになります(笑)。

30kgの畳。これは本当にキツイ・・・。
運搬以外にも、表替えのために畳をばらす作業もしています。

私生活もちょっとだけ

プレハブでの生活も、もうすぐ3年。最初は慣れないことばかりでしたが、最近やっと落ち着いて暮らせるようになってきました。

なぜかここ最近はコスプレ(?)みたいなことをする機会が多くて(笑)。予定通りにいかない毎日ですが、「今が楽しいならそれでいいかな」と、ゆる〜く過ごしています。

友人の入籍祝いで、神父姿でサプライズ(笑)。
誕生会でフルコース料理。とりあえず形から入るタイプです。
人生初の蝶ネクタイ。ご近所さんに衣装を借りて、イタリアンで外食。
コスプレではないけど、-30℃の寒さの中でもがんばっています。

おわりに

島暮らしも3年目。

仕事も私生活も、まだまだ模索中ですが、「複業」というスタイルだからこそ、たくさんの経験ができていると感じています。

正確さが求められる仕事と、ふわっとした日常。

そのギャップも含めて楽しみながら、これからも島での暮らしを続けていけたらと思います。

書いた人

宇谷 康志

島根県大田市出身。40代バツイチ独身。新しいことにチャレンジしようと決意。やるなら環境を大きく変えようと、思い切って海士町へ移住。

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