AMU JOURNAL

海士町島レポート

離島への引越しについて

2021.10.10

書いた人 ― 大森 玄己

島に行ってみたい。

できれば住んでみたい。けれど、島までどうやっていくのか、引越しのイメージが湧かない…。

そんな声をたくさん聞くようになったので、ここで改めて自分の引越しを振り返りつつ、簡単な体験記を残しておきたいと思います。周りにはほぼ身一つで来た方もいますが、僕たちは夫婦で相談し、「今ある物をできるだけ持っていきつつ、それでいてある程度コストは抑えられる」引越し方法を探ることにしました。

具体的には、「可能な限り自分たちで持参し、残りは郵送する」というやり方です。ごく普通の引越しに思えますが、意外と落とし穴もあったりするので、少しでも参考になればと思います。それではどうぞ!

どこから始めるか

という問題ですが、僕たちは以下の順番で考えてうまくいったので、今回はこの流れに沿って説明していきたいと思います。

①島の生活に必要な物を見極める
②郵送時の重量/高さ制限を調べる ←ココ大事!
③自分で運べるもの/郵送するものに分けて運ぶ

島の生活に必要な物を見極める

そもそもどうしてその島に行きたいのか、そこでどう暮らしたいのか。そこがはっきりすると、自ずと必要なものも浮かび上がってくると思います。

まずは改めてご自身で、もしくは一緒に移住しようと考えている方達と、その点をじっくり考えることから始めてみてください。(それなら島行かなくていいね、となるかも。それもあり!)

色々考えてやっぱり行くとなったら、まず不要な物から洗い出しましょう。特にベッドや家電など大きい物の中から不要な物を見つけ出せると、その後の引越し作業がかなり楽になります。お試しで行く場合はトランクルームなどに一旦預けて、処分するかどうか未来の自分に考えてもらうのもありですね。

必要な物

そして次に必要な物です。慣れない島暮らしなので色々持っていきたくなると思いますが、「少なめで行って、後から増やす」形をお勧めします。確かに多くの島には大型スーパーやショッピングモールなどはないですが、日々の生活に必要なものは基本的に島内かネットショッピングで手に入ると思います。

例えば海士町の場合、ネットで買っても物によっては最短翌日に送料無料で届きます。(個人的にはちょっと複雑な気持ちですが、その便利さには助けられています…。)

衣服や家電など実物を見て買いたい時だけ、リフレッシュも兼ねて本土に行くのが良いのでは、と思います!一方で、車、原付、電動自転車など、徒歩以外の交通手段はできるだけ事前に確保してから島に渡るのがおすすめ。僕たちの場合、引越しの手段としても島での移動手段としても車が不可欠という結論に至り、移住前に車を確保することに決めました。

こうして必要な物たちを見極めたら、今度はそれぞれどのように運ぶかを考えていきましょう。

郵送時の重量/高さ制限を調べる

おそらく離島移住で最も気をつけなくてはいけないのがここ。

前提として、僕たちは「大物家具/家電あり」「世帯移住」だったため、個人的に調べた引越し業者さんはみなかなりお高く、業者さんに頼むことは早々に諦めました。。(高いのは、陸運/海運だけでなく、取次業者なども間に色々入るため、だそうです…。)

単身で荷物も少ない方は単身パックなどの方が割安かもしれないので、そちらもぜひ検討してみてください。また、家具家電付きのシェアハウスなどに住める場合、もっと楽に移住できると思います!

荷物制限

さて、荷物制限です。郵送を依頼する場合、各業者さん達がそれぞれに設定する重量/高さ制限をクリアしないと島まで運んでもらえません…。

例えば、妻が調べてくれたヤマトさん(ヤマトホームコンビニエンス)の離島輸送制限は以下の通り。

①3辺合計350cm以上不可
②高さ180cm以上不可
③横か奥行き100cm以上不可
④重さ100kg以上不可
⑤現地での組み立て対応不可
※2021年3月時点

僕たちの場合、冷蔵庫が②と④の条件に引っかかってしまい、メルカリで売却後、ヤフオクで新たに小ぶりの冷蔵庫を購入。また、ベッドも②の条件に引っかかってしまい、こちらはメルカリでも売れず、泣く泣く廃品処分で手放すことになりました。

一方洗濯機は④までの条件をクリアし、無事運べることとなったものの、組み立ては自分達で行うことに。忘れもしない移住2日目。台を敷いたり排水ホースの隙間を埋めたりで、結局丸一日かかってなんとか設置を終えたのは、今となってはいい思い出です。

直前になって運べない!とならないよう、特に大きな家具や家電は早め早めに郵送/処分の準備を始めることをおすすめします。

自分で運べるもの/郵送するものに分けて運ぶ

さて、ここまで来たら後はもう運ぶだけです。

車を確保したことで、僕たちの場合「自分で運べるもの=車で運べるもの」となったので、何を車に乗せるかを考えることに。まず最初に選んだのは、寝具や調理器具など、最初の2週間を暮らせるだけの物資。

郵送する荷物も移住当日に届くよう指定していましたが、フェリーが止まったりで届かない可能性もあります。そして、「観葉植物」や「郵送すると嵩張るもの」も車で運ぶことにしました。

家電など壊れやすい機械類はプロに頼んだ方が安心、ということで、ある程度がさつに運んでも壊れなさそうなものをえらび、車に詰め込みました。(もちろん植物はがさつじゃダメですが、日々の水やりなどもいるので、がっちり周囲を補強した上で同乗してもらいました。)

引越ししてみると、家の中には意外と色んなものがあることに気づきます。

以下は妻が作ってくれたリストの一部ですが、それぞれ詳細情報や運び方などをリストにして管理すると、運ぶ物の総量も見えて良いと思います。

こうして送るものは送り、その他は車にパンパンに詰め込んで家を出発!道中でのんびり3泊し、東京から島根までのロードトリップを満喫した後、無事島に辿り着いたのでした。

結論!

「できるところは入念に、できないところは柔軟に!」

段取り八分という言葉がありますが、まずは可能な限りシミュレーションを重ね、具体的な生活を思い浮かべましょう。下調べや準備など、地味で面倒なことほど後で効果を発揮します。(もちろん、気が進まないのもわかります…。)

後の二分は生活してみないとわからないこと、思っていたのと違うことなど色々あると思うので、ある程度思い切って飛び込むことも大切かな、と思います。離島に限らず、理想と現実はどうしてもズレが出るもの。日々暮らしながら良くしていこう!という心づもりがあれば、色々なんとかなるものです。(ありがたいことに、僕たちはなんとかなっています。)

離島もひとつの選択肢として、それぞれの思い描く暮らしが実現できますように。Bon Voyage!

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書いた人

大森 玄己

兵庫県出身。東京の海運会社で3年半ほど主に人事として仕事をしながら、半年間だけNPOの活動に参加していました。

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