AMU JOURNAL

海士町島レポート

石川県から隠岐諸島への移住道中記

2022.9.21

書いた人 ― 西野 愛菜

さて、私の海士町移住。自分でも「やらかしたー!」と思うほど、いろんなことを経験したなと思ってます。「離島に移住」という意味でも「フットワークの軽さ」という意味でも。だけど、本当はすっごくすっごく、たくさんの人に支えられて、心が温かくなった旅路でした。

それでは、とある海士町移住劇をどうぞ。

海士町に移住するまでに起こった出来事

私は、石川県から海士町に移住してきました。はい、そのはずなんです。しかし、石川のシェアハウスを退去してから海士町に移住するまでの一ヶ月半。そのたった一ヶ月半に起こったことは、ズバリ。

石川県のシェアハウスを退去→京都市の実家に一部荷物置く→海士町に数日間滞在→お盆で京都市に帰る→なぜかもう一度行った島根県で自走事故勃発!!→京都市で車をどうにかする→車で山口県萩市まで行く→島根県で荷物を積む→海士町に移住

ちなみに荷物の内訳はこんな感じ。

<荷物の内訳>
着物:段ボール2箱
陶器:段ボール1箱
洋服:段ボール2箱
日用品:段ボール3箱
食品類:段ボール1箱
その他:布団、毛布、鏡
※石川県ではシェアハウスに住んでいたので、大型家電は持っていません。

とまぁ、こんなところです。

情報量が多いですよね。自分でも意味がよくわかりません。

意味がわからないですが、ひとまず詳しくご説明します。

石川県→一旦海士町

海士町に移住する前は、石川県で働いていました。その職場でいろいろあり、複業組合の内定をもらってないのにも関わらず海士町に移住する気まんまんで仕事を辞めました。

石川県ではシェアハウスに住んでいたので車に乗せられる荷物しかなく、もちろん大型家電もなし。運転席以外荷物パンパン状態で、一旦京都市の実家へ。半分の荷物は実家に置いて、残り半分は車に乗せた状態で海士町に向かいます。

※荷物状況:半分車/半分実家(京都市)

複業組合の面接を兼ねて、数日間海士町と隣の島の知夫里島に滞在していました。地元の方を紹介してもらったり、牛と馬に遭遇したりと思う存分楽しんだ数日間。

海士町→京都市→島根県

数日間海士町を楽しんだ後、お盆だったので京都市の実家に戻ることにします。その後、島根県で行きたい場所があったので島根県に行こうと思いたち、なぜか再び島根県へ。行ったり来たりしすぎじゃね?って自分でも思います。ガソリン代が…

そんな島根県を楽しんでいた矢先、事件が起こります!

なんと「自走事故」勃発!!!

ほんと、嘘でしょって感じです。

島根県大田市という所で自走事故を起こしてしまいました…

車の中の荷物どうするんだ!って話です。

運よく、通りすがりの大田市民の方に板金屋さんを紹介していただくことができ、レッカー車で板金屋さんへ。話し合いの末、その車は廃車することになりました…

中の荷物はというと「そのまま」です。海士町に移住するまでに取りに来ると伝え、廃車する車に乗せたままにしました。もし、大田市で事故をされた際はご連絡ください!

※荷物状況:半分廃車の車(大田市)/半分実家(京都市)

島根県→京都府

そして、板金屋さんを紹介して下さった、大田市の方がこれまた良い方すぎて…

板金屋さんを紹介してもらった後「かわいそうだから」と大田市と出雲市を案内して下さったんです。案内してもらう道中、人生相談にも乗ってもらい、海士町への移住、仕事で色々あったこと、自分が克服したいこと、などまさにメンターのように話を聞いてもらって。「過去を悔やんでも仕方ないし、縁があって出会えたんだからこの縁を楽しまないとね」「世の中、いろんな人がいるからこうじゃないとダメなんてことないよ」。ほんの数時間前に初めて出会った方から、自分の心に刺さる言葉をたくさんもらいました。島根県に行ったら必ずもう一度会いたいと思っている方です。

車を壊してしまったことは本当にいけないことなんですけど、でも車を壊さないとこの方とは出会えなかった。だから、これでよかったんだと今は思ってます。(いや、こんなこと言ってはダメです!!)

そんなこんなで、私だけ公共交通機関で実家の京都に戻ります。

※荷物状況:半分廃車の車(大田市)/半分実家(京都市)

京都市→山口県萩市→大田市→海士町

京都市の実家で新しい車と移住の準備ができたのち、やっと海士町へ出発です。もちろん、実家にある荷物を車に乗せて。

※荷物状況:半分廃車の車(大田市)/半分新車

そして海士町への移住までしばらく日数があったので、なんとなく行きたいなぁと思っていた山口県萩市まで行くことに。萩市でも心優しい方に出会い、行くのは大変だったけど行ってよかった場所です。

萩市で一泊した後、廃車の車に乗せた荷物を取りに行くため大田市へ。やっと全ての荷物を新車に乗せ、海士町へ移住です。

※荷物状況:全部新車

ちなみに海士町では、単身住宅に住むことになりました。で、ここで問題なのが、冷蔵庫などの大型家電をどうしたか。ズバリ、引越しをされる島民の方から譲り受けることになりました。大型家電を購入しなくてもどうにかできてよかったです。(出費を抑えられた…)

移住劇を振り返って

とまぁ、これが海士町への移住劇です。楽しんでもらえましたか?

(当の本人は、結構楽しんでます!)

何度も長距離運転をしたり、車を壊したり、様々なことがありました。でも、ご縁に恵まれてたくさんの言葉をもらって、すごくすごく心が温かくなった旅路でした。

そして、車を廃車したのに、大型家電を持っていないのに、そこまでしてでも海士町への移住を諦めなかったその理由。それはただ「海士町に移住したかったから」。

海士町に移住したからって何かが変わる訳でも、何かができるようになる訳でもないです。ただ、海士町なら自分を苦しめず穏やかに、これまでの自分を乗り越えていけるんじゃないか。そう思えたから移住を諦めなかったのです。いや違いますね。諦めるとかそんな問題ではなく、なんかもう海士町に移住することが全ての前提だったので、なんの迷いもなく海士町に移住しました。

離島移住ってハードルが高い。そう思われる方、多いと思います。でも、ハードルってなんですか?

本土と隔離されてるから行きたいところにいけないこと?食べ物の心配?地域とうまくやっていけるかどうか?そもそも引越しの仕方がわからない?

それって案外どうにかなっちゃいます。フェリーに乗れば本土にいける(島民なら割引されます)。商店だってある。地域でうまくやっていけるかどうかは、本土の田舎に住むのと似たような問題。荷物なんて、全て車に乗せて足りない物は通販で購入すれば良い。ちなみに、Amazonプライムに入っていれば離島でも送料無料になります。

だから結局は、一歩を踏み出す勇気です。私のように行きたいと思ったなら、えいやっ、と勇気を出して飛び込んでみたら良いのだと思います。心配していることなんて、行ってみたらどうにかなります。そもそも人口2300人の有人島なのです。身ひとつで行っても死にはしません。

私だって、島でうまくやっていけるかどうか正直不安です。でも、その不安でさえも楽しんだもん勝ちだと思っています。自分の人生は自分で決める。だからこそ、たくさん悩んで、たくさんトライアンドエラーして、たくさん楽しむ。そんな風に歩んで行きたいと思ってます。

書いた人

西野 愛菜

京都出身。東京と石川で働いた後、海士町に移住。自分のやってみたいことをとことんやってみようと移住を決意しました。

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