AMU JOURNAL

はたらく人の声

私がAMU WORKERになった理由〜山郷編〜

2021.4.7

書いた人 ― 山郷 志乃美

ここに来た理由

“このまま”進んでいくことに対して、なんとなくの違和感、なんだかしっくりこない感じがあった。

企業で働くというのも(だから、大学院に行ったという側面もあると思う。まだ、働けないと思っていたし。“働き”たくないと思っていたし)、心理士でさえ、なんとなくのレールがあるし(こういう場所で働き、こういうことをするみたいな。このままでは人間として未熟なのに形だけになってしまいそうな気がした)、週5で働くというのも、 社会人とはこういうもの、というのも、そういう色々な“こういうもの”が、どれもしっくりこなかった。

当たり前は、当たり前なのか?

そんなとき、初めて釣りに行く機会があって、その魚を釣れた時に、よくわからないけど、すごく感動して、漁師になろう!という気持ちが湧き上がった。

とても突飛だったけど、それについて色々調べていると、すごくワクワクした。

農業なんかもやったりして、自給自足の生活なんて良いな~

その中で、心理士としてもそうだし、そうやって、自分の暮らしや働き方、自分の人生、自分の形を創っていきたいと思った。

そうやってこれからのことを想像したときに、すっごくワクワクした!


そんな中、色々調べていたら、偶然、海士町を見つけた。財政難を、町長自ら給料を下げることを皮切りに、乗り越えたり、 「高校魅力化」といって、教員でない人々が教育に携わったり。

“こういうもの”という既成概念でやっていないところが、“そういうもの”に挑戦してる姿勢が、すごく魅力的だった

し、この組合も、「働き方をデザインする」ことや「新しい価値観の創造への挑戦」を掲げていて、ああ!これだ!と思った。

そして、面談の時に、これは言葉だけじゃないんだと、感じた。

以前、漁業フェスとかにも行ってみたりしたけど、女性はそもそも採用していないところも多く、漁師は男社会というイメージはもともとあったけど、やっぱりそんな感じがあった。

そして、男社会の中に女が飛び込むことに対して、なんとなくネガティブなイメージを私は持っていた。

だからなのか、面談の時に、「男社会の中に、女が入ることに抵抗はないんでしょうか?」と、自ずと質問が出てきた。

そしたら、「それは彼らにとっても挑戦になる」と返ってきた。

“女だから”と見くびられたり逆にちやほやされたり、確かに、身体的な差があることは事実ではあるけれども、対等でない感じがすごく嫌だった。 でも、どういう風であればいいのか自分でも分からなかった。

だから、そう返って来た時、

男女で違いがあるということは事実だし、これまでと違うのも事実だし、でもそういう“違い”に対して、一緒に挑戦していこうというメッセージが、すごく良かった

し、答えを得られた気がした

し、“そういうもの”を一緒に変えていける気がした。

ここでなら、自分達オリジナルの創造をしていける、そしてそれは世の中を変えていくような創造になる、そういう予感がした。

質問

Q.せっかく海外に留学したり大学院にまで行ったのに、もったいなくない?

A.もし、それがこれまでの学びと関係がないからということであれば…学んできたことなどが、リニア―に積み重なって“何かになる”という考えではなく、これまでの経験や学びがすべて血肉化されて、私という人間を涵養していきたいという考え。だから、私の中では、全てが有機的に繋がっているし、その中から“私”という形が出来上がってくると思っている。ので、もったいないという感覚は全くないし、アカデミックな勉強以外の経験を蓄えていくことは、むしろすごく良い。もし、そのもったいないというのが、これまでに掛けた“お金”をもとに考えているのであれば…私にとっての豊かさとは、お金ではなく、自分が自分である、ということにあるので、それが実現できる場に身を投じられることは全くもったいなくない。

Q.知らない土地に行き、新しいことを始めることは不安ではない?

A.この町やこの組合の姿勢は、私がしていきたいことと重なるから、むしろ自分によりあった環境にいけるということで、不安はない!


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書いた人

山郷 志乃美

埼玉県出身。初めての釣りに感動し、漁師を目指し海士町へ。魚を起点に、漁師・漁協・森林組合・福祉施設などで勤務。

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