AMU JOURNAL

はたらく人の声

海士町の定置網では、今の時期は一番忙しい時期でもあります。

2021.2.5

書いた人 ― 雪野 瞭治
はたらき先 ― 飯古定置

今週の業務はどうでしたか

いわゆる基本的な定置網漁の流れが多かったです。漁に出て、捕れた魚やイカを仕分けして出荷する。そして、出荷作業が早めに終わったら網の修理やメンテナンスをするという流れです。その他には、網の入れ替えも行いました。

網の入れ替えに関して、引き上げた網はものすごい大きいです。網をメンテナンスする時には相当な手間がかかります。一つ一つの網は非常に高額ですので、長い期間でも使えるように皆さん気を使っていることがわかりました。

引き上げた網の中でも役割を終えて処理する段階には、普段の漁で一緒になる現場の人たち以外の地域の方々も加わって作業をしていました。今週の業務は、その方々と一緒に引き上げた網を処理するという仕事にも従事しました。

今週の一番の驚きは何ですか

今週一番驚いたことは、とてもシンプルです。今週の業務でも新たに出てきた網の処理の際なのですが、退職して60歳を超えているような地元のおっちゃん達と一緒に仕事をすることがあったのです。その時に彼らはただのおっちゃんじゃねえって圧倒させられました。

というのも、網にはものすごく太いロープの箇所があって、僕とか現場の人とかはナイフで一生懸命頑張って切ったりするんですよ。でも、そこで一緒のおっちゃんたちを見ていると、ロープを切る時なんか、まるで豆腐を切るみたいに枝切り鋏でロープをちょきんちょきんと切っているんですよ。

なんだ、枝切り鋏を使うといいんだなと。それだったら、簡単じゃんと思って僕も枝切り鋏を使って切ってみたら、まぁ切れるわけもなくて。単純に圧倒的な肉体のパワーの差だということを痛感させられました。

この島では歳はとれないわな。これじゃあ、歳をとったなと口走ることもできないじゃんって、しみじみと思いました。パワーが強すぎるし、彼らの機械の操作の一つをとっても熟練というかレベルが高すぎます。

そんな彼らと一緒に仕事をしているときには、「君、慌てなくてゆっくりやればいいんだよ」って言ってもらえるんですよ。でも、彼らの仕事っぷりはゆっくりに見えるのですが圧倒的に早いのです。それは何十年も仕事してるから出せる技なのでしょう。僕はまだ28歳なのですが、そりゃあ、色んな意味で比べること自体おかしいよなと、良い意味で肩の力も抜けるというのでしょうか。なんか色々なことを諦められるというのか受け入れられるというのでしょうか、認められるようになりました。

そうそう。年齢の差じゃないですけど、彼らが仕事というものに関わってきた時間の差を考えた時に、僕はまだ仕事を始めたばかりです。私自身、早く仕事に慣れなきゃいけないと、すごく焦っていたことに気が付きました。いい意味で背伸びをしなくてもいいんじゃないかなって。ただただ、丁寧に地に足をつけてやっていくしかないということを、様々な方面から気づかされる1週間でした。

最近どうですか

海士町の定置網では、今の時期は一番忙しい時期でもあります。僕の場合には、2月から2週に一度は土日の2日間が休みとなりますが、1月中は基本的に週6日の稼働でした。1週間で丸一日休みになるのが土曜日の1日となっています。

だけど、その生活リズムがわかってきたので、休みが1日であることを前提に、その休みをどう過ごすかを日々の生活の中でも考えられるようになりました。

早い話が、休日を集中して深く過ごせるようになってきました。休みの日って、何かを取り返すがごとく、たくさん寝たくなったりしませんか。

今は仕事の時の朝が早い生活リズムが完全に体に染み付いてるので、休みでも同じ時間に起きてしまいます。それに加えて、夜寝る時にも明日は休みだからはっちゃけようっていう欲がだんだん無くなってきました。

ただ、そうしたおかげで、1日の休みという日はすごい充実感があります。朝から早起きしているので、家の片付けをしたり、車のメンテナンスをしたり。終わった後にはコーヒーをゆっくり飲んだり、おいしい湧水を汲みに行ったりと効率よく一日を満喫できるようになっていました。

そのような生活を大切にしたいともともと思っていたので、丁寧に生活を送れている状態がすごく心地がいいです。

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飯古定置 について

書いた人

雪野 瞭治

兵庫県出身。海士町複業協同組合のAMU WORKER第1号。技術と科学の視点から、興味の赴くままに挑戦してます。

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