AMU JOURNAL

はたらく人の声

刈払機の使い方を学ぶところから始まりました。

2022.6.3

書いた人 ― 空閑 みなみ

いざ森林組合へ

入社後、初のはたらく先として森林組合を選択しました。よって、日々林業に勤しんでいます。

森林組合を希望した理由は、第一次産業へ興味があったことと、海士町の生態系、特に植物に触れてみたかったからです。もともと、花が好きなので、森林組合での勤務が始まって以来、作業中に見つけた花の写真を休憩時間に撮ったりしています。少しずつ集めた写真を使ってオリジナルのミニ図鑑を作成したいです。

アケビ

さて、初めての作業は、山に牛の放牧地を作るというものでした。刈払機を使用して、雑草から、手首サイズの幹の太さの木を刈りました。機械の使用や、山に入ること自体、あまり経験してこなかったため、刈払機のいろは・視覚に入る木々・歩いたことのない地面の感触といった見知らぬ情報が膨大な現場に対して、知力と体力が試される環境だと感じています。

賢くなりたい

林業に携わり始めて1ヶ月ほど経過したばかりですが、体力が必要なことを前提として、さらに、常に頭を使って作業を行うことの重要性も感じています。

山で草木を刈る時、片っ端から適当に刈り倒していけば良いのではなく、木の生え方を見て回転する刃のどこを当てていくか、どう刈り進んでいくのが効率が良いのか等を考えます。そして、切った草木を集めて、等高線を意識した位置に「棚」を作っていきます。

急に専門用語が飛び出しました。等高線とは、義務教育で勉強した記憶がかすかに残っている、同じ高さの地点をつないで描かれる地図上の曲線のことです。懐かしい。山にくっきりと線はありませんが、斜面の途中にある段差等から見当をつけます。

また、等高線あたりに作る「棚」とは、切った草木を集めた場所のことを指します。棚は、なるべくコンパクトに作ります。小さくまとめることで、地面との距離が近くなり、伐採した草木の分解が早く行われます。また、綺麗に片付けることで通り道が広くなり、今後の作業の邪魔になりにくいというメリットがあります。

このように、ただ草木を切れば良いだけではなく、森や作業環境の循環性を高めるという視点が伐採の作業に含まれていることを、現場に出て知りました。

今後作業をしていく上で、上記のような効率性や循環性につながるような知識や気づきを見出せたら、もっと林業に近づくことができるのではないかと考えています。

肉体労働の先

林業は何と言っても体力勝負です。1日中肉体労働を行うため、勤務開始後、数日間は夜9時に眠気がきていました。体力が少し付いてきた頃、GWに突入し、5日間の休みをいただいたのですが、連休明け初日の体の鈍り具合に驚きました。それ以来、体を動かさないことに恐怖感を抱くようになり、休日も常に立って何かしらの作業をしていないと落ち着かない体質に変化しました。体が鈍るのが怖い…(笑)

このような感じで体力が付いてきた今、作業の意義についても考えるようになりました。例えば、一言で「草刈り」と言っても、道の雑草をひたすら刈る草刈り、細い木の伐採も含まれた草刈り、木の苗の周りを綺麗にする草刈りというように、様々な種類があります。こうした肉体労働の先に、牛を放牧するといった明確な目的があるとき、仕事への義務感と集中力がグッと上がります。

牛の骨を発見

作業場所にて牛の骨を見つけました!!

全身が綺麗に白骨化しており、頭の角や骨盤がはっきりと観察できました。山中で寿命を迎えたり、木の枝分かれしている部分に頭が引っかかりそのまま亡くなってしまう牛がいるため、骨は時々発見されるそうです。

博物館にある骨格標本のような美しさです。ただし、骨の隙間から草が伸びていることが博物館の展示とは異なる点であり、牛が自然のサイクルの中に組み込まれていることを感じる景色でした。また、生きている牛も山中に放牧されているので、生死のコントラストにも心を打たれます。

機会があれば、ぜひ現場で直接見ていただきたいです。

最近どうですか?

漂着物調査隊

休日にシェアハウスの同居人(以下、シェアメイト)と一緒に、海士町のお隣、西ノ島の海岸へ遊びに行きました。砂浜を歩いていたら、ロシア・中国・韓国の漂着物が見つかり、日本海だから?出会うことができた品々から、海越しの異国間交流をすることができて興奮しました。日本からの漂着物も海外で発見されているかもしれません。こうした漂着物の報告コミュニティがあったら面白いですね。

引き続き、海岸の漂着物を調査(?)していこうと思います。

韓国語の漂着物
中国語の漂着物
ロシア語の漂着物

焚き火

最近、シェアメイトと家の庭で焚き火をするようになりました。

納屋にあった薪と、拾ってきた流木を燃やして夜な夜な火を囲んで雑談しています。

焚き火を眺めていて顔が熱くなってきたら、火から顔を遠ざけるのに天を仰ぐのですが、その時に星が綺麗に見えるので、こんなに完璧なロケーションが他に思い当たらないほど素晴らしく、良い時間の過ごし方をしているな〜としみじみ感じます。

とある日の焚き火

書いた人

空閑 みなみ

1道5県出身。大学で映画学を専攻した後、新卒で組合へ。最近は、"編むこと"に縁があるようです。

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