港に最も近い商店、脇谷商店で働いています。
脇谷商店で働き始めて2ヶ月ほどが経過します。ついこの間始めたと思っていたのに、びっくりです。(脇谷商店では、毎週水曜日と金曜日の16:00〜19:00に働いています。)
最初の1ヶ月は仕事内容を理解することでいっぱいいっぱいでしたが、夏の暑さも和らぎ、脇谷商店でのお仕事に徐々に慣れてきたように思います。そして、海士に住む私たちの暮らしは商店の見えない心遣いに支えられているのだなと考えるようになりました。
お盆が近づいた8月初旬、脇谷商店にはお盆用のお花やお菓子が並んでいました。季節に合わせて陳列する商品が変わるのは、本土のスーパーやコンビニでもよく見る光景。クリスマスの1ヶ月前くらいからクリスマス商品が並び、そんな陳列棚を見て季節を思い出すこともありました。
脇谷商店では、季節だけではなく、来店するお客さんに合わせて商店を運営されているのだと感じることが何度かあり、その心遣いに驚きました。
思わずハッとさせられた脇谷商店の心遣い
よく覚えているのが、この夏、カップラーメンの値段が上がった時のことです。
脇谷商店には高校や学習センターが近い立地上、高校生のお客さんが多く、カップラーメンは高校生によく購入される商品の一つです。
「カップラーメンの値段が上がると、高校生がカップラーメンを買いづらくなってしまう」
そんな高校生のお財布事情を想像し、なるべく価格の低いカップラーメンを新しく仕入れ始めたのだと脇谷商店の代表である誠さんが教えてくれました。私自身、高校生が買いづらくなってしまうなと想像しながらも、彼らのために低価格のカップラーメンを仕入れるという発想には至らなかったので、ハッとさせられました。
また、長年お店に立つ他のスタッフの方とレジに立っていると、このお客さんはどの品物を毎回買っているのか、このお客さんはレシートやレジ袋が必要なのか、皆さんが記憶しているのだとわかります。お客さんが来店するとその方が予約していた商品をパパッと用意されたり、「いつものください」と言うお客さんに”いつもの”を用意されたりする光景をよく見かけます。
このような商店の方々のお客さんへの心遣い一つひとつによって、この島の人々の生活が支えられているのだなと感じます。海士町のことはもちろん、商店を利用するお客さんをよく理解していないとできない技です…。
初めてのアルバイトの印象深い経験を思い出し、考えること
このジャーナルを書きながら、ふと19歳の頃に経験した、駅構内にあるジュース屋さんでのアルバイトを思い出しました。そのアルバイトの中で一番印象深いことが、ある一人のお客さんのことです。
その方は頻繁に来店してくださっていたので、バナナジュースを注文すること・電子マネーで支払うこと・レシートをいらないことをいつしか記憶するようになりました。駅構内にあるジュース屋さんで、ゆっくりと会話をしたことはありませんが、その方が来店したと気づくとバナナジュースを作り提供する関係性が生まれていました。私にとっては、そのお客さんとの関係性が、ジュースの味や売上などよりも大切なことだったのだと思います。
値段が安く夜遅くまでやっているコンビニをついつい懐かしんでしまうこともあるし、品揃えが抜群な通販サイトにお世話になることもあります…。そんなスーパーやコンビニ、ネット通販も便利でありがたいけれど、私は脇谷商店のスタッフとお客さんや、ジュース屋さんでバナナジュースを買ってくれるおじさんと当時の私の関係性のような、手触り感を心地よく感じるのだなと思いました。
海士町の福祉への関心が移住の一番大きな理由だったので、移住当初はまさか自分が商店で働いているとは想像もしていませんでした。AMU WORKを通じて商店で働く機会をいただき、思いがけない気づきを得ることができて、なんだか嬉しいです。