AMU JOURNAL

はたらく人の声

自宅の冷凍庫を一つ増やしました。それと、冷蔵庫も大きいものに買い換えました。

2021.3.21

書いた人 ― 雪野 瞭治
はたらき先 ― 飯古定置

今週の業務はどうでしたか

だんだんイカが獲れないシーズンになってきました。そのため、比較的早くに漁が終わることが多くなってきています。漁も落ち着いてき始めているので古くなった網を入れ替えたり、海から出した網を洗うなど網に関連する業務が増えてきています。

ちなみに、いつも上げている網は2つあるのですが、そのうちの一つのは、入れ替えたばかりです。ここ数日はこの新しい網を中心に上げていたけど、あんまり獲れることはなくなっています。けれど、「今週から入らなくなりますよ」と私に話してくれた矢先に、急にめちゃくちゃイカが獲れたりして、みんなでやっぱり、海の予測はできないもんだなと話したりしています。

そういえば、漁の仕事の中で、魚をまとめてすくえるような大きな網で、魚をすくって選別する台に載せる作業があります。The 漁師という景色の一つだと思います。この作業を最初に見た時は花形のような作業に見えていつかやりたいなーってぼんやりと思っていたら、気がつけばその役割も僕がやることが増えてきました

最近は、ハゲ(ウマヅラハギ)が基本的にいつも入っていて、その他に石鯛やトロピカルなカラフルな魚もときたま入っています。明らかに獲れる魚の種類が違ってきたのを感じます。タラが2、3回に1回は入るようになり、毎回オスかメスかをしっかりチェックしています。タラの白子が本当においしいです。タラもそうだけど、この時期になってくるとイカがすごい柔らかくてフカフカとした食感になってきています。同じイカを一つとっても、食感の違いから季節の違いを感じます

今週の一番の驚きはなんでしたか

毎朝家を出る時間は基本的に同じだから、気がついたのですが、朝、日が登るのが早くなりました。いつもなら、海上で作業をし始めたときに日が登るのが見え始めていたのですが、最近ではその作業をしているときには既に日がかなり登っています。季節の変化をすぐに感じられますよね。東京では1、2ヶ月遅れくらいで季節の変化を感じていた気がします。これから春になっていくんだなというのや夏に向かっていくんだなというのをしみじみと感じられて、気がついたときにハッと驚くような感覚がありましたね。

港に着く頃には明かりも何もいらなくなりました。朝は必ず早く行くようにして、船を寄せる場所にライトをつけて準備をするのですが、それももういらなくなりました。

理科の教科書を思い出しますが、地球と太陽の関係が本当に変わってきてるんだなというのを感じられたのが驚きといえば驚きです。

最近どうですか

自宅の冷凍庫を一つ増やしました。それと、冷蔵庫も大きいものに買い換えました。魚やイカなどの魚介類を調理することに体が慣れてきたので、作りたい料理が同時にいっぱいあるのです。料理のバリエーションがすごく増えてきて晩ごはんもとてもにぎやかになってきました。

わかりやすく生活にゆとりが出てきて、豊かになってきました。そうすると料理の器にもだんだんこだわりたくなってきて、お家の裏に竹藪があるんですけど、魚の刺身とかにちょっと添える葉っぱを娘と採りい行って、お皿に盛り付けるなどの工夫もして夕食を楽しんでいます。

それとですね、ついに、握り寿司にも手を出しはじめました。魚を捌く自信がだんだんついてきたので、それを柵取りして、お家で酢飯を作ってと。見様見真似ですけどシャリからネタをのせて握るところまでそれなりにできるようになってきました。

こんな感じで、お家で食べる一つ一つの食事が、都会の生活ではできなかったような、一言でいうと品のある夕食になったと思います。私自身はもともと食に対するこだわりは強かったので、そこにこだわりきれている生活はとにかく幸せですよね。

そうそう、3月いっぱいで次の職場に移るので、職場の方たちと話している時にその話題が出ると「寂しくなるね」とか、「気がつけばあと数週間で雪野さんいなくなってしまうんですよね」とか、いろんな人から色々なタイミングで声をかけてもらって。そのときに、ありがたいことに、この職場に受け入れてもらえてたんだなというのを感じます。

もうすぐ、職場が変わるという実感がまだまだ湧いてないんですけど、いろんな人からお声掛けいただくたびに少し寂しさを感じます。学生の卒業シーズンとの合間で、いろんな出会いと別れの春が目の前にあるんだなということをしみじみと感じつつ、質の高い、そして品のある時間を海士町という場所や、この職場の人達と築けて過ごせているのかなという感覚があります。

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飯古定置 について

書いた人

雪野 瞭治

兵庫県出身。海士町複業協同組合のAMU WORKER第1号。技術と科学の視点から、興味の赴くままに挑戦してます。

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