AMU JOURNAL

はたらく人の声

地球の変化そのものを身体で感じずにはいられないですよね。

2021.4.4

書いた人 ― 雪野 瞭治
はたらき先 ― 飯古定置

今週の業務はどうでしたか

最後の業務でもありましたよね。

3月末にもなってくるとイカも魚も目に見えてとれなくなるので、網に関係する業務が相変わらず多かったです。

網洗いや網上げ、網入れと基本的な網の業務をこの1周間くらいで一気に全部やったと思います。

その中でも、特に真新しいものでいうと、道網とよばれる網を仕掛けにいきました。

回遊する魚を仕掛けに誘導するものすごく大きな網です。

本船から海に網を少しづつ落としていって、その網を海上に張ってあるロープへと固定していく作業でした。

私は小型の船に乗って、道網を固定する作業の補助をしていました。

今週の一番の驚きは何でしたか

春の魚が本当に春に採れる、ということでしょうか。タイなんかは毎回しっかりと網にかかっていますよね。

当たり前といえば当たり前かもしれませんが、海の中からもしっかりと季節を感じられるのってすごくないですか?

しっかりとシマメはサイズが小さくなってきて最後には採れなくなる。タイやイサキが採れ始めるようになる。それぞれ、漁師の方々から聞いた話の通りです。

網に入っている魚種だけみたらそれはそうでしかないのですが、海の中の生態系の様子が変わったと捉えるとものすごいダイナミックな変化だと感じます。

スーパーや魚市場で売られる魚が変わったなーというのとは次元が違って、地球の変化そのものを身体で感じずにはいられないですよね。

最近どうですか

イカがいなくなる時期になりましたね。つまり、1月から始まった3ヶ月の定置網での業務も一旦終わりです。

人と海、夜明けの景色に早くも寂しさを感じています。

私の人生における変換点のすべての始まりはこの定置網での仕事と人になります。

複業組合という制度があるとはいえ、現場で受け入れる側の人達の仕事という日常の中に突然人が増えるのはとても勇気と胆力のいることだったのではないかと思います。

その中で、色々と豪速球な勢いで訪れた私を快く受け入れてくれた職場の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

最後の出勤の少し前に、みんなで話していたときに「いよいよですね。そうだ、送別会をやりたいですね。いや、これは雪野君また来てね会ですね!」とサラッと職場の方が声に出していたのがものすごく記憶に残っていて。

なんか、ジワッと心に来ました。

この仕事ってなんだったんでしょうね。

自然と共に立ち、命をみつめて、命をあずける行為なのかなと今は一旦理解しています。

そして、海士町という目線でみた時には、この島の基幹産業そのものであるということもまた見えてきました。

とはいえ、職場としては1つ目です。しかも、3ヶ月しか触れていないので分かっていないことは無限にありますよね。こうした仕事を2週目、3週目と繰り返していくとどうなるのか純粋に楽しみでもあります。

同時に私のルーツでもある科学者、技術者としての目線で取り組んでみたいことが幾つか生まれてきました。

それをみんなの協力を仰ぎながら、カタチにしていけるよう一歩づつ歩みを進めていきたいです。

とにかく、妄想が止まらないのです。人生まるごと楽しいですね!これにつきます。

この記事のはたらき先

飯古定置 について

書いた人

雪野 瞭治

兵庫県出身。海士町複業協同組合のAMU WORKER第1号。技術と科学の視点から、興味の赴くままに挑戦してます。

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