AMU JOURNAL

はたらく人の声

牛たちとの日々に感じること。

2023.8.2

書いた人 ― 遠藤 真紗美
はたらき先 ― 隠岐牛企画

隠岐牛企画で働き始めて、2ヶ月が経ちました。今の仕事にもだいぶ慣れてきたので、どのようなことをしているのかや心境などを書き留めておきたいと思います。

今の仕事のこと

現在の仕事内容は朝夕の餌やりがメインですが、それ以外に牛房内の敷料を交換したりするサポートなどもしています。

まず、はたらき先としてなぜここを選んだかというと、一番の決め手は牛舎で見学させていただいた牛たちが可愛かったから、です。

私は来島した時に「海士町で〇〇をする!」と決めていたわけではなく、島の暮らしを楽しみながら色々な仕事に挑戦してみたいと思っていたので、はたらき先を決めるまでにいくつかの事業所の方とお話しさせていただきました。お話を聞いた代表の方々はどなたからも温かさや優しさを感じ、一緒に働いてみたいと思わせてくれました。そんな中、+αで私の心を動かしたのが牛たちでした。牛舎見学の際に聞いた、代表の井上さんの「一頭一頭顔や性格が全然違う」という言葉が印象的で、もっと牛について知りたいと思いました。

隠岐牛企画では70頭前後の牛を肥育しているのですが、大きい牛も仔牛も、本当に個性豊かで面白いです。とても人懐っこい牛やちょっと神経質な牛、やんちゃな牛。最初に牛舎で見た時は、可愛さだけでなく大きさの迫力を感じましたが、実際に間近で見ていると、それに勝る愛嬌があるように思います。日々彼らと接していると、人も動物もさほど変わらないのではと感じます。毎日変化があり、大変さもありますが、楽しく仕事ができています。

また仕事の合間、小休憩の時に井上さんから聞く話も面白くて、密かな楽しみでもあります。井上さんは大体のことを自分でこなしてしまう人で、牛舎の至る所に手作りの部分があって驚きました。それがとても格好よく、近くにいると、自分もそうなりたいと自然と思えてきます。(私が言うのも本当に烏滸がましいですが、)もちろん牛のこともとてもよく見ていて、「隠岐牛」としての仕上がり具合だけでなく、そこに至るまでの体調などの少しの変化にも敏感で、そういった色々な側面から見て「職人」だなと感じます。

牛たちを見送りました

先日、牛たちの出荷も見届けました。短い期間ではありますが、自分も餌やりをしていた牛たちが旅立って行きました。その時には寂しいような、それでいてどこか誇らしいような、言葉では形容し難い、まさに「なんとも言えない」気持ちになったのですが、畜産で味わう可愛さの向こう側の感情がこれなのかな、と自分なりの解釈をしています。この気持ちが月日を経て変わっていくのか、自分自身も気になっています。

暮らしのこと

島での生活も、不便さはほぼ感じなくなっています。色々と手に入りにくいものもありますが、今は「なければないでいいか」と思えています。

最近は、苗をいただいてシェアハウス前で育てている野菜たちが収穫間近で、今からどうやって食べるかを考えながら楽しみにしているところです。

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隠岐牛企画 について

書いた人

遠藤 真紗美

千葉県出身。食に関わる仕事をいくつか経験し、ひとつの記事がきっかけで海士町へ。おいしいものとわくわくすることが好きです。

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